長年のアメリカンスクール教師体験で学んだ

Differentiation(差別化)は、

私が一番大事にしている指導方法です。

私は、20年以上在日米軍基地内のアメリカンスクールで教師をしています。アメリカンスクールの教育実践は、私が受けてきた日本の教育とはまったく違いました。初任時は、自分が体験したことのない指導方針に大変とまどいましたが、今では「差別化」が一番大事だと感じています。

日本語に訳してしまうと少しネガティブな響きの言葉かもしれませんが、学習者一人ひとりが背負っている環境も違うし、能力、興味、個性にあった学習方法も当然違うはずです。自分に合わない方法ではいつまでたっても、進歩はありません。

個性にあった指導とは、

マンツーマンの個別レッスンという意味ではありません。

アメリカンスクールでは、教室のドアを開けて入ると、グループあるいは個々に異なる学習活動をしている様子がよく見られます。先生はkidney tableというソラマメのようにちょっと曲がった楕円形のテーブルで、4,5人のグループに読解指導をしているかもしれません。そのグループも教科ごとにレベル分けされて、違う教材を使って指導の仕方も異なります。

他の数人の生徒はコンピューターで、Lexileというオンライン読解プログラムに取り組んでいる一方、他の生徒とは違う自分のレベルにあった本を読んでいる生徒もいるでしょう。一人ひとりが自分の取り組みを理解し、自主的に学習をしています。教師は個々のレベルや進度を把握し、生徒に必要な学習素材を提供し、進歩に導いていくのが大きな役目です。

 

いつの間にか、授業案や学習方法を考え、

教材を作ることが得意で楽しくなりました。

アメリカンスクールでの私の担当教科は、Host Nation Classという海外の米軍基地で生活をする子供達に、駐屯国である日本の文化や日本語を教えるという、軍の学校ならではのユニークな教科です。世界中の米軍基地内の学校には、それぞれの国の事を教える現地の先生がいます。通常カルチャークラスと呼ばれ、ほんの数ページの学習基準があるだけで、指導要領も教科書もワークブックも何もない専科の教科なのです。

何もない状況の中、幼稚園年長児から6年生まで7学年の授業案や教材をひたすら作り続けないと授業が成り立ちません。テーマを決めて必要な情報をリサーチし、パワーポイントで画像プレゼン、アクティビティシートを作り、学習ゲームを考え、時にはテーマにあうよう歌やお話を作り、日本の学校での図工内容をアレンジしたり、毎日が生みの苦しみです。

20年以上も授業案を作り続けてきて、今ではテーマが決まれば、必要な素材を集めて授業案を仕上げることが、私の教師としての一番のやりがいでもあり楽しみです。新しいテーマを思いつくと、どんな素材を集めて調理し、授業のカタチにしようかとワクワクしてきます。

私の仕事はまるでアートディレクターのようなもの

生徒の能力が最大に発揮できるように授業活動を作る私の仕事は、顧客のニーズにあった広告などの媒体を企画制作していくアートディレクターに似ているような気がします。そのせいか、「英語を教えて下さい。」と相談されると、英語そのものを指導するというよりは、相手のニーズを掘り起こし本人に一番あった学習素材や方法をリサーチして、教えてあげたくなります。一緒に練習して、本人がコツをつかんで自立した学習者となることを見守ってあげたいと思うのです。